栗の渋皮煮と重層。
今回は、ちょっと実験的なお料理の話題です。
もともと、理系だったからなのか、理由とか根拠とかが大好きで、
「そんなもんなのだ」と強引に結果を押しつけられると、かなり反発してしまいます。
最近。シーズンだから、作る方も多い『栗の渋皮煮』。
「なんで、重層を加えるのだろう??」と疑問に思ったコトありませんか?
もちろん、「渋みを抜くため」とか、言われているのは知っているけれど、
どうして「渋みが抜けるのか?」が気になるのです。
ざっとネットで調べてみたけれど、きちんとした根拠を見つけるコトができませんでした。
(探し方がヘタなのかもしれませんが・・・)
重層(炭酸水素ナトリウム)の他の使い方については、ちゃんと出ているのですけどね。。。
例えば、
(問)蒸しパンなどにどうしていれるのか?
(答)重層は熱を加えると、炭酸ナトリウムと水に分解し、二酸化炭素(ガス)が発生する
このガスによって膨れる
とか、
(問)なぜ、緑色野菜を茹でるときに使うのか?
(答)炭酸水素ナトリウムは、水に溶けるとアルカリ性を示す
壊れやすいクロロフィル(緑色の色素)は、アルカリ性下で加熱することにより、
安定性の高いクロロフィリン(これも緑色)に変わるため、緑色が保たれる
とか。
だいたい。渋みの正体って、『タンニン』なはず。
タンニンは、水に溶けるのだから、ゆっくりと何度も煮ておけば、
栗が柔らかくなるころには、渋みも取れているのでは???
『試してみるのがいちばん』と、実際にやってみました。
【材料】
栗 400g
砂糖 250g
【作り方】
1.栗を熱湯に5~10分ぐらい浸けて、鬼皮をむく
2.鍋に栗を入れて、水を加え、10分ぐらい茹でる(弱火)
3.栗の表面をきれいに掃除して、鍋に戻し、新しい水で10分ぐらい茹でる(弱火)
4.これを4~5回、繰り返す
5.栗がきれいになったら、新しい水と砂糖を加えて、弱火で2時間ぐらい茹でる
6.火を止めて、1日置く
7.5と6を繰り返す
そして、5日後。写真にある渋皮煮が出来上がりました。
渋みは見事に取れていたのですが・・・・硬い!
食べられない程ではないけれど(これだけ煮たら当然です)、
渋皮煮らしい、ほわりと崩れる感じが全くありません。。。
そして。ふと、思いだしたのが・・・重層の効用の1つ。
『重層は水に溶けると、アルカリ性水溶液となり、細胞繊維の軟化を促進する』ってコト。
結論。
栗の渋皮煮に重層を使うのは、アク抜きというよりは、柔らかくするため。
やっぱり、重層は必要ですねぇ。
by akdeniz_tk | 2010-10-26 16:03 | レシピ(お菓子とパン)。